2017年11月25日土曜日

「罪深き愉しみ」

高校生の頃、NHK-BSで「BSマンガ夜話」という番組があった。

一つのマンガ作品についてとにかく語り明かす! という趣向の番組で、特に筋らしい筋もなく、居並ぶ男たち(稀に女性もいた記憶があります)が熱く語りまくっていた。

「このコマがいいよね〜」という発言が出れば、「そうそう、そしてこっちも」と付箋だらけになったマンガを繰り開いてどんどん話が展開される。そして 「この連載当時、この作家は〜〜で」という裏話に行くと、当時の社会情勢や編集者との関係なども解説されるという調子で、作品についてあらゆる角度から切り込んでいくのだ。これで「オタクに自由にしゃべらせるとどうなるか」ということの一端を見た思いがした。

レギュラーで出ていたのは、司会の大月隆寛、いしかわじゅん、岡田斗司夫、夏目房之介。このいい年こいたオヤジたちが、ちょっと異常なくらい楽しそうにマンガについて語っていて、私は「マンガってこんなに深い楽しみ方が出来たのか!」とすごく影響を受けた。

あの番組を見て、マンガを読みたくならない人はいなかったと思う。まあ、もともとマンガ好きでないと見ない番組でしょ、という指摘は置いといて…。

さて、私はこの12月に再び「石蔵古本市」を開催するが、そこで特別企画としてブックトーク「罪深き愉しみ」というなにやら妖しげなイベントをやる予定である。

【参考】↓昨年の「石蔵古本市」の案内記事
「石蔵古本市」でぜひ「入り口の本」を。

この「罪深き愉しみ」という、ただならぬ名前のイベントを構想するにあたって頭の中にあったのが、この「BSマンガ夜話」だった。

鹿児島は、あまり本に縁がない土地である。その中でも南薩は、もっと本に縁がない地域であり、南さつまの人は全国平均と比べたった3分の1くらいしか本を買っていないという推計がある。以前も書いたように、この秋に加世田の古本屋は閉店したし、本屋の縮小傾向が続いている。このままでは、街から本屋が消えてしまうかもしれない。

それを避けるためには、より多くの人に本を買ってもらうしかない。そのためには、読書の愉しみに目覚めてもらうしかない!


でもどうやって読書の楽しさを伝えればいいというのか。私自身が、「読書楽しい!」というタイプでないことはこのブログの読者はよくご存じだと思う。「本なんか読んですいません」という後ろめたさを感じながら読書しているわけで、とてもじゃないが「読書の楽しさ」など伝導できない。


そういう逡巡の中にあって、ふとあの「BSマンガ夜話」のことが頭に浮かんだのである。オタクが楽しそうに語り尽くす! それだけで、十分ものごとの楽しさは伝わるという見本があの番組だった。

だから、鹿児島の「本のオタク」たちを集めて、とにかく自分が好きなものについて語ってもらったらいいんじゃないだろうか? しかも、「だからみなさん読書しましょうね」という推奨のスタンスよりも、「このディープな世界に足を踏み入れるのは危険だから注意してね」という訓戒のスタンスで臨む方が、ずっと面白いのではないか。

だいたい、私自身が読書は「罪深き愉しみ」だと思っている。つい数日前も、4歳の娘に「本ばっかり読んでないで仕事しろー!」と怒られたばかりだ(下の娘の前ではあまり本を読んでいないはずなのに!)。でも「やるべきこと」でないからこそ、つい手を伸ばしてしまうのもまた人間である。

こうして、ブックトーク「罪深き愉しみ」という企画を考えた。読書を推奨するイベントは数多あれど、ここまでひねくれたイベントも全国有数だと思う。ブックトークというのはテーマに沿ってオススメ本を紹介するイベントで、このテーマも王道なものの他に、ちょっとひねくれたものを考えているところである。

集まるのは、鹿児島を代表する若手の読書家6人。私は年にせいぜい40冊くらいしか本を読まないが、ここに集まるのはその何倍も読んでいる(はずの)人たちばかりである。何倍も罪深い人たちだ(笑)

当日、私はコーディネータということで、要は聞き役を務める。私自身、直接の面識がない人の方が多く、どんな話が聞けるのか本当に楽しみである。

そんなわけで、12月の初旬、ぜひ南さつま市の万世で行われる「石蔵古本市」、そしてブックトーク「罪深き愉しみ」に来て欲しい。きっとあなたも、罪深い世界へ入っていきたくなると思う。

【情報】石蔵古本市 vol.2
日程:12月8日(金)-11日(月)(営業時間は日ごとに違います)
場所 :南さつま市加世田万世 丁子屋石蔵
参加古書店:あづさ書店 西駅店泡沫(うたかた)古書リゼットつばめ文庫
主催:南薩の田舎暮らし
Facebookイベントページでも順次案内を差し上げる予定です。

【情報】ブックトーク「罪深き愉しみ」
日時:12月9日(土)18:30〜20:30
場所:南さつま市加世田万世 丁子屋第2石蔵(本店裏)
Facebookイベントページでも順次案内を差し上げる予定です。←古本市とは別です。



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