2017年11月16日木曜日

「立候補しなかった人」の責任

南さつま市長・市議選である。

私は、前回4年前の市議選において、「南さつま市 市議会だより」で市議の働きぶりを垣間見る という記事を書き、現職市議の働きぶりを一般質問の回数で表してみるということをした。

その記事でも書いたように、この回数だけでは働きぶりを判断することは出来ないが、少なくとも市政を糺していこうとする積極性くらいは表していると考えられるため、今回も同様の表を「市議会だより」からまとめて作ってみた。それが下の表である。
※今回の市議選に出ていない人も含めて現職議員全てを掲載。順番は質問回数+五十音による。
※年月は、「議会だより」の掲載号に対応。
※議長は室屋 正和氏

質問回数に応じてなんとなく色分けしてみたが、市議会の一般質問では「ほぼ毎回質問する議員」「ときどき質問する議員」「ほぼ質問しない議員」がいることがよくわかる。

ところで4年前の記事では、各議員の関心事項まで分析した。だがこの作業は大変時間がかかるもので(というのは、質問事項を「市議会だより」のPDFから簡単にコピーすることができないから)、ちょっと今その時間的余裕がないため、今回はその分析はしていない。

その代わり、今回の市議選に立候補している19人という集団についてちょっと述べてたいことがある。立候補者は次の通りである。

氏名 年齢 党派 新旧 主な肩書き
今村 建一郎 68 無所属 農業
有村 義次 66 無所属 農業
上村 研一 54 無所属 漁業
貴島 修 66 無所属 農業
大原 俊博 68 無所属 合資会社大原百貨店代表社員
清水 春男 62 共産 農業
竹内 豊 53 無所属 ゆたか代表
平神 純子 60 無所属 無職
古木 健一 75 無所属 無職
小園 藤生 59 無所属 有限会社コゾノ代表取締役
相星 輝彦 50 無所属 商業
坂本 明仁 55 無所属 消毒センター代表
松元 正明 60 無所属 農業
山下 美岳 67 無所属 商業
諏訪 昌一 63 社民 無職
林 耕二 74 無所属 商業
田元 和美 66 無所属 商業
石原 哲郎 64 無所属 農業
室屋 正和 68 自民 (株)日峰測地会長

さて、私が言いたいことは3つだ。

第1に、平均年齢が高すぎる。立候補者の平均年齢は63歳。任期最後の年には67歳になっていることになる。いくら高齢化した過疎の町といっても全人口の平均年齢はこれほど高くないから、市民の代表としては偏っていると言わざるを得ない。やはり、子育て世代(30〜40代)はもっと入ってなければならないし、20代の議員だって1人くらいはいるべきだと私は思う。

第2に、女性議員(立候補者)の数が少なすぎる。今回の選挙では平神 純子氏しか女性の立候補者はいない。市民の約半分は女性である。理想的には、議員だって半分が女性であるべきだ。なぜ女性が立候補しないのか、よく考えて対策していく必要がある。

第3に、そもそも立候補者が少なすぎる。南さつま市議会議員の議員定数は、今回削減されて20から18になった。それでも立候補者は19人。たった1人しか落選しない。議員の正統性は、選挙で選ばれたということにあるのに、ほとんど選択肢らしい選択肢がないことになる。それでも、少なくとも今回選挙が行われることになってよかった。立候補者があと1人少なければ、無投票になっていた。無投票では、市民の代表としての正統性がまったく担保されない。

もうお気づきの通り、この3つについては、ここに立候補している人には全く責任がない。「立候補しなかった人」に責任がある。若い人、女性がどんどん立候補しないから、こういう偏った議会が生まれる。結果として、議会を「わたしたちの代表」として感じられなくなっている。私たちは、どことなく不審感を持って議会をみていないか。

議会は、我々の利害を代弁し、市政を糺し、そしてみんなで「意志決定」をするためにあるところである。議会の決定が、南さつま市民の決定になる。だから私たちは、「私たちの代表」として信頼できる議会をつくっていかなくてはならない。そのためには、若い人や女性の議会への参画は必須だ。

ではなぜこうした人たちは立候補しないのだろうか? 立候補しさえすれば、確率的にはほとんど当選するとしても、やはり立候補しない理由はたくさんあると思う。田舎だから、票はかなりの程度固まっている(誰に投票するか決まっている)ということもある。それに、今の議会のシステムはほとんど自営業の人しか立候補ができない。でも自営業というのは大抵忙しいものであって、選挙の準備などやってられないということもある。さらに女性の場合、未だに「女のくせに出しゃばって」というような因習的な考えに阻まれることも大きいだろう。

こうしたことはすぐには変えられない。でもだからといって議員の平均年齢が60代の現状に甘んじていては、いつまでもまちを変えていくことはできない。「地方創生」は、結局は地方自治のリノベーションに行き着くのだから、若手・女性が強引に出て行かないと、衰退の道を歩み続けることになる。

とはいえ、まさに今選挙が行われているわけで、こんなことを今言ってもしょうがないことだ。今回の選挙については、現に立候補されている方をよく見て選ぶということ以外にはないのだし、これからの4年間については、選ばれた議員の方を我々の代表としてよりよい市政のために働いてもらうしかないのである。

でも、あと4年後にはまた市議会議員選挙がある。その時は、若手・女性が5人くらい立候補してしかるべきだと思うし、そう考えたら、もう今からそのムーブメントを起こしていかなければならないくらいだ。具体的に、それがどういう形をとったらいいのかは今イメージはないが、そういうムーブメントは、抽象的であっても大事な「まちづくり」だろう。

有り難いことに、私などにも「市議選に出てよ!」というような声がある。今のところ、まだ生活基盤が確立していないくらいで、自分のことや家族のことで精一杯だから、とてもじゃないが立候補などできない。それに、仮に立候補して当選したとしても、自分一人では議会で何もできないと思う。やっぱり、話が合う何人かの仲間がいて、「そうだそうだ!」とならない限り、集団の方向を変えていくことは無理である。これは誰にでも当てはまることだと思う。

だから私は、若手や女性がもうちょっと市政に関わっていく道筋を作っていきたいと思う。これは、「自分が関わっていきたい」というより、そういう人を増やしたいという話である。でも、今のところその道筋というのが一体どういうものなのかイメージがない。市政についてどんどん意見を言っていこうみたいな話ではないような気がする。そうではなくて、若手や女性の力でこの街を変えて行こうという気持ちを盛り上げたいということの方が近い。

そういう気持ちが街として盛り上がっていれば、市議選ももっと違ったものになるだろう。

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